妊娠7ヶ月だった頃。
出産予定日は10月中旬で、9月初旬から産休に入る予定でした。
産休まで、あと2ヶ月。
そろそろ仕事の引き継ぎを、本格的に進めなければいけない時期です。
しかも、私の仕事は8月が繁忙期。
毎月のルーティン業務に加えて、3ヶ月に1回の大きな業務も重なり、お盆休みもあります。
モコこれは早めに準備しておかないと
そう思って、6月から引き継ぎマニュアルを作り始めました。
もともと私は、仕事のスケジュールを立てて、順番に進めていくのは得意な方。
だからこの時も、
「早めに準備を始めれば大丈夫」
そう思っていました。
でも、妊娠中の体は、思っていたようには動いてくれなかったんです。
産休前の引き継ぎ。早めに始めたはずなのに進まない
当時の私は、いくつかの担当業務を持っていました。
産休に入る前にきちんと引き継げるように、仕事内容を整理して、マニュアルにまとめていく。
6月から始めたのだから、少しずつ進めれば間に合うはずでした。
ところが、これがなかなか思うように進まなかったんですよね。
妊娠後期に近づくにつれて、胃の圧迫感から吐き気が出たり、貧血でフラフラしたり。
体調がいい日には仕事を進められるかと思えば、今度はお腹の赤ちゃんが元気に動き始めます。
特に午後から夕方になると胎動が激しくて、集中するのが難しい日もありました。
…そして気づけば7月。
妊娠8ヶ月に入り、産休はどんどん近づいてきます。
それなのに、引き継ぎマニュアルは予定よりずっと遅れていました。
「このままで間に合うのかな」
「8月は忙しくなるのに」
カレンダーを見るたびに、焦る気持ちが大きくなっていったんです。
「計画通りにできる」と思っていた私
私はそれまで、営業職や住宅業界で働いてきました。
仕事ではスケジュール管理を大切にしてきたので、
「計画を立てて、それに沿って進める」
ということには、それなりに自信がありました。
仕事には期限がある。
そこから逆算して、やるべきことを終わらせる。
それが当たり前だと思っていたんです。
でも、妊娠して初めて、
自分ではどうにもできないことがある
ということを何度も経験しました。
昨日は大丈夫だったのに、今日はしんどい。
朝は元気だったのに、午後から急に動けなくなる。
「今日はここまでやろう」と思っていても、体がついてこない。
頭では「やらなきゃ」と思っているのに、思うように進められないことが、もどかしくて仕方ありませんでした。
在宅勤務が終わったあとも、マニュアルを作っていた
当時はコロナ禍で、私は在宅勤務をしていました。
通勤がない分、体への負担は少なかったと思います。
一方で、私の場合は自宅で仕事をしていることで、仕事と自分の時間との境目が曖昧になっていました。
それでも当時の私は、
「産休に入るまでに、ちゃんと引き継がないと」
という気持ちを手放せませんでした。
自分が担当してきた仕事だから、最後まで責任を持たなければ。
まわりに迷惑をかけないようにしなければ。
そんな思いが強くて、在宅勤務の就業時間が終わったあとも、そのままパソコンに向かって引き継ぎマニュアルを作ることがありました。
誰かに「やって」と言われたわけではありません。
自分で勝手に、
「ここまでやっておかないと」
と思っていたんです。
今振り返ると、
「ちゃんとやらなきゃ」を、自分ひとりで抱え込んでいたんだと思います。
産休が近づくにつれて、お腹はどんどん大きくなりました。
長時間座っていることもしんどくなり、吐き気や足のむくみもひどくなっていきました。
それなのに、仕事が終わってもパソコンを閉じず、夜遅くまでマニュアルを作っている。
そんな日が続いたある時、ふと思ったんです。
「私、ちょっと無理しすぎてるな」
ようやく、自分の体が出していたサインに気づいたんですよね。
「できるところまでで大丈夫」と言われて気づいたこと
責任を持って、きちんと引き継ぎを終わらせなければ。
そう思い込んでいた私でしたが、思い切ってチームリーダーに相談してみました。
すると返ってきたのは、



できるところまでで大丈夫だよ
という言葉でした。
自分では、
「全部終わらせなければいけない」
と思っていたけれど、それは自分自身が思い込んでいたことだったのかもしれません。
その言葉を聞いて、少し肩の力が抜けました。
もちろん、引き継ぎをしなくてもいいわけではありません。
自分が担当していた仕事を整理して、必要なことを伝えておくことは大切です。
でも、
すべてを完璧な状態にしてから休まなければならないわけではない。
自分にできる準備をする。
伝えられることを伝える。
そして、できないことはまわりに頼る。
それでいいのかもしれない。
そう思えるようになってから、私は少しずつ「ちゃんとやらなきゃ」を手放していきました。
妊娠する前の私は、予定通りに進まないことがあれば、
「どうすれば予定に追いつけるか」
を考えるタイプでした。
でも妊娠中は、自分の頑張りだけでは予定通りにいかないこともありました。
頑張ればなんとかなることばかりではない。
休んだ方がいい日もある。
誰かに頼らなければいけない時もある。
今思えば、産休前の引き継ぎは、
「今までと同じようにはできない自分」を受け入れていく時間でもあった
ような気がします。
産休前の引き継ぎで、今なら大切にしたいこと
もし今の私が、あの頃の自分に声をかけるとしたら、
「もう少しまわりを頼っても大丈夫だよ」
と伝えたいです。
産休に入る日が近づくと、
「あれもやっておかないと」
「これも伝えておかないと」
と、できていないことばかりが目につきます。
そんな時こそ、できることからひとつずつ。
まずは自分の仕事を書き出して、優先順位をつける。
必要な資料やマニュアルを、できる範囲で整える。
進んでいないことや不安なことがあれば、早めに上司やまわりの人に伝える。
そして、自分だけで抱え込まない。
あの頃の私は、もっと早くそうしてもよかったのだと思います。
できない自分に焦るのではなく、
「今日はここまでできた」
「これは誰かにお願いしよう」
そうやって、その日の自分にできることをひとつずつ進めていく。
産休前だからこそ、仕事をきちんと終わらせることだけではなく、
自分の体を守ることも大切な「やるべきこと」だったと、今は思います。
まとめ|「ちゃんとやる」より、大切だったこと
産休まであと2ヶ月。
早めに準備を始めたつもりだったのに、思うように引き継ぎが進まず、私は毎日のように焦っていました。
在宅勤務の仕事が終わったあとも、パソコンに向かって引き継ぎマニュアルを作っていたあの頃。
でも今振り返ると、あの時いちばん大切だったのは、
すべてを予定通りに終わらせることでも、
完璧な引き継ぎマニュアルを作ることでもありませんでした。
無理をしすぎないこと。
ひとりで抱え込まず、まわりを頼ること。
そして、自分の体調を大切にすること。
振り返ってみれば、職場の仕事を私ひとりで抱え込む必要はなかったんだと思います。
まして妊娠中は、自分ではどうにもできない体調の波があります。
今、産休前の引き継ぎが思うように進まず、
「間に合わないかもしれない」
「もっと頑張らないと」
と焦っている方がいたら。



できることを、できるところまで。
あとは、まわりに頼ってもいい。
あの頃の私にも、そう伝えてあげたいと思います。
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